PDについて

PD(Purpse Driven=目的主導)とは

パーパス・ドリブンとは、「神様の目的に導かれる」という意味です。それは 教会のあるべき健康な姿であり、そこに属する教会員たちは、礼拝、交わり、 弟子づくり、ミニストリー、伝道という神の目的に導かれ、それらをバランス よく実現していくことを目指します。パーパス・ドリブンの概念は、人々が救わ れ、教会の交わりに加わり、霊的に成長し、適性に基づく働きを見出し、使命 のために遣わされ、神の栄光を現す人生を生きるための、聖書的な原則を示し ています。

パーパス・ドリブンが提唱する原則と方法は複雑なものではありません。この 原則を取り入れることによって、牧師は自分の教会のメンバーに、聖書の基本 的な理解を示すことができ、また自らの霊的成長と教会全体の成長を評価する 方法を持つことができるのです。 規模の大小、教団の有無、カリスマ的要素の有無、開拓か既存か、都市部か 地方か、といった教会の違いを超えて、パーパス・ドリブンの教会成長モデル は全世界各地の教会で用いられています。これまで22の言語地域から30万 人を超える指導者たちがトレーニングに参加してきました。現在では、全世界 の国々にパーパス・ドリブンの原則を用いるクリスチャンの群れが存在してい ます。



聖書的根拠

パーパス・ドリブンは、聖書に基づく健康な教会のモデルです。 パーパス・ドリブンという教会モデルの根拠は、聖書に示されている「最も 大切な戒め」(マタイ22:37-40)と「大宣教命令」(マタイ28:19- 20)に見出されます。「最も大切な戒め」とは、主イエスが「律法の中で最も 大切な戒めは何ですか」という質問を受けたときに語られたものです。主が語 られたことばを要約すると、次のようになるでしょう。「ここに旧約聖書があ ります。神の律法を要約すると次のようになります。旧約聖書はすべて、次の 2つの命令に集約されるのです。それは、『心から神を愛すること、そして、 自分と同じようにあなたの隣人を愛すること』です」

また、主イエスは天に帰られる直前に弟子たちに、3つの内容を含む使命を ゆだねられました。それは「行って弟子をつくること」「バプテスマを授ける こと」「キリストの教えをすべて守るように教えること」の3つでした。これ が「大宣教命令」と呼ばれているものです。

これら2つのみことばから、聖書に基づいて教会が健康に成長していくため の「5つの目的」が導き出されます。すなわち、「礼拝、交わり、弟子づくり、 ミニストリー(奉仕)、伝道」です。

それでは、どのようにこれらの目的のバランスを保っていけばよいのでしょ うか。パーパス・ドリブンは、これら5つの目的のバランスを保つためのシン プルで効果的な戦略と、そのために必要なツール(道具)を提供しています。

  1. 礼拝 あなたは神の喜びのために造られた
  2. 交わり あなたは神の家族となるために造られた
  3. 弟子づくり あなたはキリストのようになるために造られた
  4. ミニストリー(奉仕) あなたは神に仕えるために造られた
  5. 伝道 あなたは使命のために造られた




目的に導かれた健康な教会の12の特徴

パーパス・ドリブンが提唱する手法を、従来行ってきた全般的な戦略に単に適応しただけで、大きな成長を遂げた教会が世界にはいくつもあります。 教会が異なれば教会員の特質も違いますから、教会成長に寄与する要素もまた異なってきます。しかしながら、パーパス・ドリブンの手法によって成長し、 バランスを保ちながら健康な教会に成長している教会には、12の共通した基 本的特徴を見ることができます。

  1. 新約聖書に示されている5つの目的(礼拝、交わり、弟子づくり、ミニス トリー、伝道)に導かれた教会形成への献身を表明し、そのことを明文化して いる。
  2. 明文化された目標を実現するための戦略を持っている。またそれを実行す る教会員が目的に導かれて行動できるよう工夫されている。この戦略は、未信 者を導き、神の家族に加わるよう働きかけ、霊的成長を助け、教会のミニスト リーへ参加できるように育て、最終的には宣教へと送り出し、かつて未信者だ った人々が、神に栄光を帰すことができるようになるまで、段階的に導いてい くことを目標としている。このようなパーパス・ドリブンの戦略には、根拠と なる2つの仮説がある。つまり、「献身度を段階的に高めていくような手法を 取り入れたときに、教会員は最も成長する」ことと、「より高い献身度を求め るときは、彼らの意欲を引き出すための効果的な方法を用いなければならない」 ことである。
  3. 目的に導かれて行動するという構造が成立しており、新約聖書に示された 5つの目的がバランスよく強調されている。 また階級的な影は薄く、5つ以上 のチーム(1つの目的に対し1つ以上のチーム)によって組織が構成されてい る。このチームの構成は、教会員の中から立てられたリーダーとスタッフから なる。それぞれのチームが5つの目的の一つを掲げ、地域住民や未信者、献身 度の異なる教会員に対し、個別に働きかけている。
  4. 5つの目的それぞれに対し、個別の戦略が考案され、ターゲットも絞られ ている。地域住民の特徴に合わせた戦略を用いて伝道し、聴衆の好みに敏感に なることで礼拝出席者を増やし、教会員の必要に耳を傾けることにより交わり を活発化し、段階的に献身度を高める形で弟子訓練を実施し、それぞれのミニ ストリーと使命を自覚してもらい、その実現へと送り出している。
  5. 目的別に教会スタッフの人員配置がなされている。健康な教会においては、 まずボランティアとしてそれぞれのチームに仕えるリーダーを募ることから人 員配置を始めている。そして必要に応じて有給スタッフを雇用している。
  6. 目的別にテーマを設定した説教がなされている。教会員が5つの目的のバ ランスをとれるように説教計画が立てられている。
  7. 5つの目的に基づいたスモール・グループが形成されている。パーパス・ド リブンのDNA は、キリストの体の細胞一つ一つに組み込まれている。それぞれ のスモール・グループは、メンバーが5つの目的に導かれた信仰生活を送れる よう、励まし合っている。
  8. 目的別の行事設定がされている。イベントやプログラムのスケジュールは、 目的によって規定されている。それぞれのイベントは、少なくとも5つの目的 の1つを実現するために企画される。さもなければそのイベントは行われない。
  9. 目的別の予算編成である。すなわち、支出が目的別に項目分けされている。
  10. 目的実現のための教会堂使用がなされている。教会堂は目的を実現する ために用いられる道具とみなされており、建物自体が必要以上の意味を持つこ とはない。教会堂は目的のために用いられるのであり、目的や伝道対象となる 人々より重視されることは決してない。
  11. 教会員の健康度や霊的成長度が目的によって評価される。健康な教会で は、教会員同士が、「この教会の活動は5つの目的のバランスがとれているだ ろうか」、「それぞれの目的を達成するためにもっとよい方法はないだろうか」 と絶えず考えている。
  12. 健康な教会は、外から将来の働き人を集め、段階的に献身度を高めてい くことで成長している。教会を健康にしようとするとき、献身度がすでに高い 少人数のメンバーにだけ注目するよりも、その外にいる礼拝出席者に目をやり、 彼らの献身度を高めていくほうがはるかに容易である。また、教会に関わる人々 を献身度別に分けて分類することで、効果的かつ多様性に富む教会活動が実施 できる。


教会員がバランスのとれた信仰生活を実現するために

教会員となった信者は、目的意識をもって未信者を伝道し、また他の教会員 の霊的成長を助けなければなりません。そのためには、効果的な手法を習得し なければなりません。新来者が神との関係を進めようとしたとき、一人ひとり の事情に配慮しながら、その方法を明確に示すことができれば、彼らは前に踏 み出すことができます。また教会員が、分かりやすく効果的な尺度を用い、自 らの霊的成長度をいつも計ることができれば、神様との関係はより深いものに なっていきます。パーパス・ドリブンの手法を実行することにより、教会は新 来者と教会員に対しそのように働きかけることができるようになります。健康 でバランスの取れた教会員を増やすためには、前に掲げた5つの目的を説明し たり、新しい標語を掲げたりするだけでは不十分でなのです。教会員が5つの 目的(礼拝、交わり、弟子づくり、ミニストリー、伝道)を、バランスよく人 生に組み入れていくことを手助けするような計画を練ることが必要です。5つ の目的にバランスよく導かれた教会員が、健康でバランスの取れた教会の基礎 となります。

下に示した同心円モデルは、パーパス・ドリブンの教会成長の基本概念を説 明したものです。出発点は一番外に示された周辺住民を教会へと導くことです。 そして段階を追って彼らを訓練し、ミニストリーと伝道に携わる中枢的な教会 員へと育てていきます。また、次の頁に示した野球のダイヤモンドは、教会員 一人ひとりまたは全員の霊的成長段階を示すものです。

礼拝出席者から教会員へ
この同心円をみれば、教会員の中に献身度の違いがあることが分かると思い ます。また、献身度の違いに応じて教会員のニーズがどのように変化するのか、 献身度を高めるためにどのようなステップを踏めばよいのかも分かるでしょう。

COMMUNITY 地域住民
CROWD 群集
CONGREGATION 会衆
COMMITTED 献身的なメンバー
CORE 核となるメンバー


大まかに言えば、教会は次に示す5つの異なるグループに属する人々と関係を 持っています。
  1. 地域住民: 教会周辺の住民のこと。教会には全く出席しないか、時々 出席する程度。
  2. 群集: 教会には定期的に出席するが、教会員ではない人々のこと。
  3. 会衆: 教会員として、教会の神の家族とキリストへの献身を表明して いる人々のこと。
  4. 献身的なメンバー: 霊的に成長するために熱心な信仰生活を送る教会 員のこと。
  5. 核となるメンバー: 教会のミニストリーや伝道といった活動に活発に 関わる教会員のこと。
それぞれのグループが独自のニーズ、動機、問題、そしてなにより潜在的な可 能性を持っています。聴衆を神の働き人に変えていくという皆さんの働きをサ ポートすることが、わたしたちの役目です。

目的意識をもった弟子づくりモデル
パーパス・ドリブンの手法を用いれば、人々をより献身度の高いレベルへと導 くことができます。教会に属さず、献身を表明していなかった人々が、霊的成 長と献身度のレベルを高めていき、神が彼らに与えた使命を受け入れ、情熱を 持って献身するようになるのです。下の野球のダイヤモンドの各塁は、霊的成 長と献身度のレベルを示しています。これは、有効性の高い指標として、教派 や規模に関係なく、どのような教会でも用いることができます。

WORSHIP: 礼拝
KNOWING CHRIST: キリストを受け入れる ⇒ FELLOSHIP:交わり
GROWING IN CHRIST: キリストにあって成長する ⇒ DISCIPLESHIP:弟子づくり
SERVING CHRIST: キリストに仕える ⇒ MINISTRY:ミニストリー
SHARING CHRIST: キリストのことを分かち合う ⇒ EVANGERISM:伝道

パーパス・ドリブンは以下のことを通じて、教会員がキリストとの関係を深 めるお手伝いをします。
  • 礼拝:教会員が、神を心から愛し友情を深め従います。
  • 交わり:教会員が、他の教会員や未信者に対し愛をもって接することを 身につけます。
  • 弟子づくり:教会員が、信仰を深めることに熱心に取り組みます。
  • ミニストリー:教会員が神から与えられたSHAPE を見出し、意欲的に 教会に献身します。
  • 伝道:教会員が、キリストに与えられた大宣教命令に従って行動します。